「おっ」っと思わせるストーリーの作り方

「最近は物を売るんじゃなくてストーリーを売るんですよ」

 

先日東京でお会いした方に言われました、

確かに数年前から物ではなくストーリーを売るとか体験を売る。

 

とかそんな言葉が巷に溢れてきたと感じていたし、自分ももちろんストーリーを紡ぐのが好きなのでストーリーを作ってサービスを売ってきました。

 

僕は学生時代から舞台の台本を書いたり、自分の頭で想像を膨らませて世界を作っていくことが好きでした。

 

事業計画を作るときも一回その時のなりたい姿や作りたい状況を想像してから、ストーリーとして組み立てて、

最終的に数字に落とし込む。

そして外に出て人がストーリーを語るときには「おっ」と気を付けて聞くようにしています。

 

ストーリーを語る経営者は周りを巻き込む力が強いと感じるし、

共感できるストーリーは商品を購入する際に大きな後押しになり自分がストーリーを語る際のヒントになるから。

 

 

しかし同時に「いい話ですね」にはなるものの結果として商品が売れない。

というストーリーにも沢山出会ってきました。

今日はそんなストーリーがただの「いい話」にならないようにするにはどうすればいいか、そんなお話を自分なりに考えてみました。

ストーリーとは「自分ゴト」

 

ストーリーを語る上で一番大切なことは「自分ゴト」としてストーリーを受け取ってもらい共感してもらうことです。

共感してもらうことで商品やサービスが目指す目的と同じ方向を向いていただき、

「自分がこれを使う理由」として捉えてもらうことができます。

 

「いい話」で終わるストーリーは物語としては成立していても全くの他人事になっている場合が多く、共感が得られず、結果として販売に結びつかない場合が多いです。

 

テクニックとしては誰もがわかるである事柄を織り交ぜることで共感を得るパターンです。

 

例えば僕が「服づくりが衰退している」と話をする時に使う言い回しです。

 

 

 

 

 

「昔はどこの家庭でもミシンが動いていました、でも最近は衰退してしまっています。小学校の入学の時に昔は家で雑巾を縫ってたんですけど今は百円均一で買って持っていくんです

 

 

 

「服づくりが衰退している」とだけ伝えてもイメージしづらいのですが、

 

誰もが小学校の時に持っていった雑巾を例に出すことで「あぁ、確かに」と自分ゴトにしてもらいます。

 

どれだけ数字で30年で工場の数が1/4になった!とか

市場規模が減少している!とか言っても自分ゴトにはなりづらいものです。

 

実際には服づくり=雑巾ではないですが、

イメージとして昔は日本中でミシンが動いていたのに、最近は減っているんだろうな、思っていただきやすいです。

「おっ」と思うストーリーには匂いや味がある。

僕がストーリーを語るとき、

基本的に五感はに訴えかけるような話をします。

 

そのほうが情報以外に聞いている人の頭の中の引き出しを開けるきっかけになるからです。

 

職人さんたちの努力が報われる世界を作りたい。

そういう抽象的に聞こえる話をする時には僕はこんな話をします。

 

 

 

「母は縫製の仕事をしてましたがとても貧乏で朝早くから夜中まで働いてました、だから晩御飯は姉と2人なんです。でもたまに、本当にたまに母が早く帰ってくる日が月に1度くらいあるんです、その時に一緒にご飯を食べた後、一緒に風呂に入るんです。その時の満腹感といつもより温かく感じる狭い風呂がなんとも言えないくらい好きでね、その後僕らを寝かしつけてまた母は仕事に出ていくんです。寂しかった。だから僕みたいな子供を減らしたいんです」

 

 

 

こんな話をします。

 

子供心に寂しかった思い出や、一瞬の満腹感や狭いお風呂の温かさなど五感を感じてもらう話を入れることで、

 

一気に共感の引き出しを開けてもらいます。

 

 

「おっ」という話にはベネフィットが付いて回る。

 

ストーリーを語り、自分ゴトとして聞いてもらいます。

しかし「いい話」で終わるお話はここで終わり。

 

最終的にベネフィット(お客様のメリット)がない場合が多いです、

 

「ストーリーを売る」としてももちろんサービスやプロダクトが適正価格であり、コモディティ化した中の差別化として「ストーリー」はあります。

 

ですので最終的に売れるストーリーにはお客様が共感し、さらにベネフィットを具体的に感じるストーリーになっています。

 

例えば先日知り合いの経営者さんが運営している「JIWAJIWA」というお風呂のハーブのストーリーを考えていたのですが、

 

どうしてもお風呂のハーブは入浴剤と勘違いされたり、価格的に入浴剤の方が安価に流通しているので差別化をするためのストーリーを考えていました。

僕が考えたのは、

 

 

 

 

「仕事が忙しくて家に帰ると3歳の娘が葉っぱのお風呂しよっていうんです、でね疲れてるけどお風呂にJIWAJIWA入れるんです、そしたら娘はそれで遊ぶんですよ、ただ遊びたいだけ。

それでお風呂上がったらいつもよりポカポカしてて、なんか幸せやなぁと思ったんです。

でね、翌日寝坊しました。

よくよく考えたら前日いつもより長くゆっくりお風呂はいってて、お風呂ってほんまに体をリセットして調子を整えてくれるんですね、まぁ遅刻したんでめっちゃ謝りましたけど」

 

 

 

こんなはなしにしました。

寝坊するのはベネフィットではもちろんないんですが、

「肩こりが治るんです!」

とか

「香りでリラックスできます!」

とか

具体的な効能も説明されてもいいんですが、それでは他の入浴剤でも語れます。

お風呂のハーブ(ティーパックみたいなものに入っている)の特徴や、そこで生まれるコミュニケーション、そして結果として体がリセットされた。

そんな内容を詰め込んだストーリーでした。

 

ストーリーは語り継がれることに意味がある。

ストーリーは誰でも語れることが最大のメリットです、

一度紡いだストーリーはその本人からファンの耳に入り、心を動かし、

そしてまた違う人に語られていきます。

最高のマーケティングである「口コミ」を作る上でストーリーはとても有効ですし、

どうせ作るなら共感、五感、ベネフィット、

この3つを備えた自分らしいストーリーを作ってみてはいかがでしょうか?

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