作ると売るのバランス

私たちの元には「小ロットで作りたい」という要望が集まってくる。

その度に時代の流れを感じている。

一昔前は洋服は大きなロットで作るものだった、1型1000枚とか3000枚とか

100枚なんて小ロットだと言われていた、しかし僕たちが扱うのは10〜50枚くらいのロットの商品である。

日本や世界中の工場は量の経済を利かせ大きなロットを生産することで利益を生む構造に出来上がっていた。

しかしモノが溢れた今「個」の時代になり自分らしく生きるため誰もが着ている洋服ではなく自分に合った洋服を選ぶようになった、しかしとうの昔にピークを過ぎていた日本の縫製業界(作る業界)はそれには対応できず衰退していった。

こんな話をすると「ワークマンは!」とか「ユニクロは!」とかそんな話が出てくる。

実際にプチプラの商品は売れているだろうし、ロットに関係なく好きなら買うのが現実であるだろうから必要な商品=小ロットの洋服ではないのは確かだ。

それであっても洋服好きは確かに存在し、今までの洋服では納得しない人たちも増えているのだと実感する。

MY HOME ATELIERについて

僕たちはこの大ロット→小ロット(もしくは両方が存在する)社会において小ロット生産を可能にすることがよりファッション業界を発展させ多様性を加速させると考えている。

そのために2017年から行っているのがMY HOME ATELIERという仕組みである。

この仕組みは結婚や出産、廃業や介護などさまざまな理由で「縫う」を仕事にできなくなった縫製職人さんが自宅に居られながら「縫う」を生業に生きていけるようにするサービスである。

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自宅でできない裁断や特殊ミシンを用いる作業は全てマザー工場で行う、そうすることによって職人は限られたスペースで縫う仕事をすることができる、

しかも扱う商材は大量生産ではなく「小ロット生産」の商品だ、

例えば15着だけブラウスを縫う

という仕事を自宅でできるようになる。

自宅には裁断済みで糸も資材も入っていて箱を開けたらすぐに縫い始められる、デザイナーとしては通常の工場では製造できないロットを製造することができるのでせっかくついたオーダーをドロップさせずに済むし、それに自分で工場を探す手間を省くことができる。

そんな仕組みで僕たちは全国の職人さんとデザイナーさん達と一緒に洋服作りをしてきた。

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作るだけじゃ変わらない社会

2017年から始まったMY HOME ATELIERは時間をかけながらじっくりと広がり全国に腕の立つ職人さんたち数百人とお仕事できるようになってきた。

しかし、社会は変わらなかった。

いや、確かに変わってきているのだけれど変化のスピードが遅かった。

職人さんたちをサポートすること、小ロット生産を可能にすることでたくさんの種類の洋服が作れるようになり社会の多様化はどんどん進んでいくだろうと考えていた。

しかしそうではなかった、洋服を作るということは決して「縫う」ということだけではないということに気がついたのだ。

洋服を縫うには企画する人や売る人、そして買っていただけるお客様が必要だった、そんな当たり前のことにすら気が付かず「縫う」ことだけに注力してきたのだ。

そこで僕たちは2020年の6月、コロナ禍ではあったが本格的に「売る」事業を初めた、職人支援と同時にデザイナー支援を始めたのだ。

デザイナーが課題に感じている「資金繰り」「生産管理」「型紙」「プロモーション」などの様々な部分をサポートしもちろん「縫製」も行いながら考えたものがすぐに形になりうることができるようになってきた。

ブランド支援をさせていただいたどのブランドも数倍のお客様にお届けできるようになってきた、そして同時にその分の縫製も職人さんにお渡しできるようになってきた。

僕たちは少しずつだけれど、「作る」と「売る」ができるようになってきたのだ。

新しく見える景色

僕たちは次に目指す明確な景色がある、

それはファッションを通じて多様性を実現すること。

本当に必要とする服が製造され、お客様にお届けできること。

そしてその洋服を通じてお客様は自己表現に満足し健やかな社会と地球環境を作ること。

そのためには欲しい服をしっかりと見つけていただき、その服を少量であろうと製造する仕組みが必要だ。

そして僕たちはそれをもう持っている。

だからこそ今再び大きな挑戦をする。

それが新-ARATASHI-である。

新-ARATASHI- というプロジェクト

ロゴレッド@4x-100

このプラットフォームの内部の仕組みは少しだけ複雑な部分がある、

しかしシンプルな話をするとデザイナーさんは初期費用をかけず自分のデザインを形にすることができる。

そしてプラットフォーム上で自分のレーベルの商品として販売を行うことができる。

そして例え受注が1着であってもMY HOME ATELIERの仕組みを使って製造しお客様にお届けすることができるのだ。

つまり「作ると売る」をワンストップで行うことができるプラットフォームである。

社会の変化のスピードは早く、

小ロットであってもSNSや個人のネットショップ、ハンドメイドサイトなどから販売することができた、しかし製造することはとても難しかったのだ。

それがワンストップでできる。

このプロジェクトは12/3から初回の販売を開始するのだが、

すでにこのプロジェクトに参加を決めてくれているデザイナーさんたちもいる。

新しいことに挑戦するのは怖く、難しいことだが勇気を持って挑戦してくれた素晴らしいデザイナーさんたちだ、

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東京コレクションにも出展しているKAIKIさんやデビューしたばかりとはいえ非常に多くのファンがついているSUBLIMATIO、写真を載せられないのが残念ではあるがこちらも東コレブランドのHOUGAやD2Cブランドとして展開してるFilvoirなど様々なブランドが参加を表明してくれている。

まだ名前は出せないがまだまだブランドが拡大していくだろう。

アラタシではここでしか買えない商品ということが前提のショップだ、

だからお客様はここでしか手に入れることのできない商品を発見することができる。

デザイナーは最大限にリスクヘッジをしながらお客様に商品を発表することができる。

先に見据えるもの

僕たちはこのプラットフォームを日本最大のD2Cファッションプラットフォームにしていきたいと考えている、そしてこのプラットフォームを通じて多様化を進めていきたいと思うのだ。

このプラットフォームにはジェンダーも、障害も関係ない。

このプラットフォームに来ればどんな洋服でも探すことができる、そして大量生産されなくても必ず必要な洋服を見つけることができる。

そんな場所を作りたい。

そして大量生産はできないけれどそんな商品を作って売りたいというデザイナーが増えて欲しいと願っている。

そうすることで僕たちにのルーツである「職人」が今日も未来も服作りで生きていくことができる。

誰かが本当に欲しいと思った洋服を、誰かがきちんとデザインし、誰かが縫製する。

こんな当たり前をこのプラットフォームを通じて達成したいと考えている。

この記事を読んでくれているのがデザイナーさんなら、ぜひエントリーをお願いしたい。

エントリーは下記メールアドレスまで「エントリー希望」と送ってください。

info@aratashifashion.com

もし読んでくれているのがユーザーさんなら、ぜひ商品の発表を楽しみにしてほしいそしてこの記事をシェアしてくれると嬉しい。

最後に

現在ヴァレイではこんなプロジェクトを一緒に動かしてくれる

・生産管理

・パタンナー

・マーケティング担当

を募集しています。

諸条件に関しては同じく下記メールアドレスにてお問い合わせください。

info@aratashifashion.com

僕たちと一緒に、本当に必要な洋服が必要な人に届き、多様化を認め合える社会を作っていきましょう。

合同会社ヴァレイ

代表 谷 英希